2000年06月の1本

「 街 の 灯 」

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5月の1本の「真夜中のカーボーイ」は、いかがでしたか?
お楽しみ頂けましたか?

今月6月はチャールズ・チャップリン監督作の2度目の登場で、サイレントの名作「街の灯」です。
この「街の灯」も僕の大好きな映画のひとつです。

どうぞ、ゆっくりお楽しみ下さい。

「街の灯」(CITY LIGHTS)
1931年 89分 監督 チャールズ・チャップリン
出演者 チャールズ・チャップリン、バージニア・チェリル、フローレンス・リー
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街の放浪者チャーリーは、ふとしたことから盲目の花売り娘と知り合う。
花を1輪買ってやるが、彼女はチャーリーをお金持ちだと勘違いしてしまう。
そんな彼女は年老いたおばあさんとふたりで貧しい暮らしをしていた。
ある夜、チャーリーは自殺しようとしていた酔っ払いの百万長者の男を助けたことで知り合いになり、意気投合して家に招かれる。
そして彼からお金をを貰って花を買ってやる。
チャーリーは彼女に惹かれ金持ち紳士の振りをして支え始める。
だが、頼りにしていた百万長者の男は朝、目が覚めシラフになるとチャーリーの事をスッカリ忘れていて追い出し、ヨーロッパへ行ってしまう。
そんな時、娘が熱を出して寝込み、チャーリーは助けたい一心で掃除夫の仕事をはじめる。
休み時間に娘の家を訪ねると、家賃滞納で立ち退き命令の文書が・・・。
だがチャーリーは仕事を首になり、手っ取り早く大金を稼ごうとボクサーになるがあえなく失敗・・・。
娘のために金を手に入れようと街をさまようチャーリー。
なんとあの百万長者がヨーロッパから帰っていた。
彼から1000ドルの大金を貰い、娘に家賃と目の治療代として渡す。
だが、シラフになった百万長者の男は自分がチャーリーにお金をやったことをすっかり忘れて泥棒扱い・・・チャーリーは牢獄につながれる羽目に・・・。
数ヶ月たち、刑を終えて出所したチャーリーは、娘と再会する。
手術して目が見えるようになった娘は花屋を開いていた。
だが娘はチャーリーが自分の恩人であることが分からない。
チャーリーを逆に哀れに思い、小銭を与えようとして手が触れた瞬間・・・。
その感触で彼女は、はじめてチャーリーが恩人だったことにに気づくのだった・・・。
「あなたでしたの?」
「見えるようになった?」
「ええ見えますわ。」・・・。





チャールズ・チャップリン監督の「街の灯」でした。

この映画はとても好きで何回も見ました。
見るごとに感動してしまうんですよね。
チャップリンの映画は、最近のコメディーとは全然違う感じがします。
見終わってみると喜劇でなく感動映画になっているんですよね。
その頃の時代背景による所も大きいのですが、重さと笑いがうまくミックスされているところが魅力的です。

「街の灯」は、特にラスト・シーンが良いんですね。

      
画面に“You?”という字幕・・・そしてチャーリーの顔、そして娘の顔。
チャーリーが・・・“You can see now?”。
そして娘が・・・“Yes,I can see now”。
一輪の花を持った右手を口元に置いたチャーリーの笑顔でこの映画は終わります。
チャップリンは、これを描きたくって「街の灯」を作ったのだと思っています。

ストーリーは単純ながら、その見事なまでの演出の凄さ・・・この映画には最低限の字幕が出てくるだけ・・・。
パントマイムと表情や演技だけと言う映画のもっともシンプルな形で描いているのだけれど、ググっと伝わって来るんですね。

なお、冒頭にサイレントの名作と書きましたが、チャップリンがこの映画を製作中に、ハリウッドではサイレントからトーキーに移っていった時期でしたが、チャップリンは予定通り無声映画のスタイルを崩さず、最終的に音楽とサウンド・エフェクトを入れたそうです。
正式にいえばサイレント映画ではないのですが・・・。

チャップリンはこの映画を作るのに製作期間が長くかかったそうです。
と言うのは、チャーリーが初めて娘と出会うシーンで、道を渡ろうとしたチャーリーが行く手を塞いだリムジンのドアを開けて中を通って反対側に抜けて、目の見えない娘が、リムジンの高級車独特のドアの音を聞いて、チャーリーをお金持ちと思いこむシーン・・・チャップリンは、このワン・シーンだけの撮影で何と1年以上を費やしたそうです。
これを見てもチャップリンの映画に対する熱意がうかがえますよね。

この映画ではチャップリンならではのギャグ・パフォーマンスがいろいろ楽しめます。

銅像の除幕式のシーン

裸像の鑑賞を楽しむシーン

億万長者とお酒を飲むシーン

酒場でのシーン

毛糸巻手伝いをするシーン

ボクシングの試合でのシーン
その他にも、チャップリンのギャグが満載されています。

チャップリンは、「サーカス」で第1回アカデミー特別賞を受賞しましたが、その後は、スキャンダルとか、1950年代に赤狩り(共産党員弾圧運動)の犠牲になり、ハリウッドから追放され、1972年に20年ぶりにハリウッドに戻り、晴れてアカデミー名誉賞を受賞しました。

「街の灯」は、これからもずっと永遠に残っていく名作だと思います。
見たことがない方は、是非、見てください。
あなたの心に小さな何かをきっとくれると思います。

チャップリンの「街の灯」でした。

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6月の1本の「街の灯」は、いかがでしたか?

それでは、次回7月の作品をお楽しみに・・・。

 

 


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