1999年12月の1本

「素晴らしき哉、人生!」

「今月の1本」へ戻る MIDIが聞けない方はご容赦ください。
「久しき昔
(蛍の光)
 
11月の1本の「太陽がいっぱい」は、いかがでしたか?
お楽しみ頂けましたか?

今月12月は、フランク・キャプラ監督、ジェームズ・スチュアート主演の味わい深い人生ドラマの秀作「素晴らしき哉、人生!」です。
12月・・・クリスマス・シーズン・・・ということで、この映画がピッタリではと思い選んでみました。
僕からのささやかなクリスマス・プレゼントです。

どうぞ、ゆっくりお楽しみ下さい。

「素晴らしき哉、人生!」(IT’S A WONDERFUL LIFE)
1946年 130分 監督 フランク・キャプラ
出演者 ジェームズ・スチュアート、ドナ・リード、ライオネル・バリモア
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
クリスマスの晩、ジョージ・ベイリーは人生に絶望して、まさに自殺をしようとしていた。
友人や妻のメアリーや子供達が、ジョージを救って下さいと天国に祈りを捧げている。
天国で、そんな祈りを聞き届け、ジョージを救うために翼を持たない2級天使クラレンスが地上へ派遣されることになった。
まず、ジョージの今までの人生を。

ジョージの少年時代・・・ジョージは氷が割れて水に落ちた弟を救い、左耳の聴覚を失ってしまう。
薬屋のおじさんが息子の病死に落胆して、間違って劇薬を売ってしまうところを助ける。

在学時代・・・外国へ行くことを夢見ていたジョージは、父の死と町の悪徳資産家 ポッターに対して正義を主張したために、父の経営していた住宅金融会社を継がねばならなくなる。
メアリーと結婚し、新婚旅行に旅立とうとすると、経済恐慌で取り付け騒ぎが起こり、旅費を全部投げ出して急場をしのぐ。
その後も貧しい人々に住宅を与えたり、ポッターの悪辣な圧迫にも堂々と渡りあったり、仕事に精を出す。
しかし、叔父が会社の金8000ドルを失くしてしまい、会計検査官がやって来て、責任をとらざるを得ないという危機に直面して、ついに絶望・・・。
ジョージは、橋から川に飛び降りようとするが、別の男が先に飛び込み助ける。
その男こそ、ジョージを救うために派遣された2級天使クラレンスだった。
ジョージが、「生まれなきゃよかった」と言うと、天使は、「君の望み通りにしよう」と言って、ジョージが生まれてこなかった世界を見せる。
なんと町は、ポッターズ・ヒルになっていた。
そして、薬屋のガウアーさんは悲惨な晩年を過ごし、弟は氷の池で死に、町はうるおいの欠けた殺伐としたものになっていた。
そして、メアリーも愛のない寂しい人生を送っていた・・・。
これを見て、ジョージは「戻してくれ、二度と恐れない。もう一度生きたい」とクラレンスに願うのだった・・・。
そして気がつくと元の世界に戻っていた・・・。
喜び勇んで家に戻ると、愛する子供達、そしてメアリーが・・・。
そして町の人々が彼のためにカンパを持って集まって来てくれた。
あのガウアーさんからも・・・。
ジョージの誠意が町の人々に届いたのだった。
そして、カンパの中に本が一冊・・・。
「友のあるものは敗残者ではない
  翼をありがとう  クラレンス」
ハッピー・メリー・クリスマス!




フランク・キャプラ監督の「素晴らしき哉、人生!」でした。

この作品は、アメリカではクリスマス・シーズンになると毎年必ずTV放映されるほど愛されている作品です。

主役のジョージは小さな町の人々、まわりの人々のために、自分の夢と希望を一つずつ犠牲にして生きてきたが、大金を失くしたことから責任を取らざるを得なくなり、絶望して自殺しようとする。
だが、ジョージを巡る多くの人々の温かい善意によって、物語はハッピー・エンドに終わる・・・。
見終わって、何だかホっとしたと言うか、「良かった・・良かった・・・本当に良かった。」と、素直に感じられて、心が豊かにさせられました。
今から50年以上も前の作品で、その細部にまで心を使った作りの良さ、内容の素晴らしさと相まって、いつまでの色褪せないというのは、この映画のことだと思います。

特にこの映画の脚本は、とても良く出来ていると思います。
見てみれば一目瞭然ですが、本当にそれぞれの場面ごとに、それぞれ見所をさりげなく作って感心します。
その中でもB級天使が彼を助けに来るのですが、直接手をさしのべて助けることが出来ないのです。
そこが良いんですよね。
そしてその方法が素晴らしいですね。
こんな事されたら本当に「It's A Wonderful Life!」と、叫びたくなります。
見ていると自分の人生と、ついついつい重ねて考えたり・・・人生、捨てたもんじゃあないなと・・・。

なお、バックに流れている「蛍の光」は、この映画のラスト・シーンで使われています。
みんなの大合唱で・・・これがまたすごく良い感じです。
でも、この曲は日本では、卒業式とかで歌われ、別れとか終わりというイメージが強いですが、外国では違うんですね。
原曲はスコットランド民謡の「
Auld Lang Syne」です。
題名は、「久しき昔」・・・。
この歌詞は古い英語で書かれていて、僕にはとっても意味が分からないので、知人に頼んで訳してもらいました。
内容は、思っていた通りに、この映画のイメージ通りでした。
コーラス部分のだいたいの訳は、
「昔からの友よ、それぞれのこれからの人生をつかもう。」
・・・この歌詞を見ていると元気が湧いてきそうです。

主演のジェームズ・スチュアートの出演作の中には、「スミス都へ行く」、「フィラデルフィア物語」、「グレン・ミラー物語」、「翼よ!あれが巴里の灯だ」、「飛べ!フェニックス」、そしてヒッチコック監督の「ロープ」、「裏窓」、「知りすぎていた男」、「めまい」等々良い作品はたくさんあります。
でも、特に好きなのは、やっぱりこれですね・・・「素晴らしき哉、人生!」・・・。
アメリカの良心とも言えるジェームズ・スチュアートの魅力があますところなく出ているのがこの作品だと思います。
彼は、1940年の「フィラデルフィア物語」でアカデミー主演男優賞を取っています。

そして妻役のドナ・リード・・・本当に綺麗な人です。
このほかにも1953年の「地上より永遠に」で、アカデミー助演女優賞を取り、また「雨の朝巴里に死す」、「ベニィ・グッドマン物語」等に出演していますが、何と言っても日本でも放映され大人気だった人気TVシリーズの「うちのママは世界一」のママ役でご存知の方もいらっしゃると思います。

もし、あなたが、落ち込んだ時、まわりの人間関係などで悩んでいる時、人生に少しでも絶望した時などに、この映画を見て下さい。
「人に対する優しい心を持ち、夢と希望を忘れなければ、きっと明日がある。」
キャプラ監督のメッセージが、あなたに勇気を与えてくれます。

ハッピー・メリー・クリスマス!

「素晴らしき哉、人生!」でした。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

12月の1本の「素晴らしき哉、人生!」は、いかがでしたか?

それでは、次回の作品をお楽しみに・・・。

 

 


「今月の1本」へ戻る ページTOPへ  
inserted by FC2 system